2011年 01月 25日

天声人語:スカイライン

1月24日付の、朝日新聞天声人語。
以下、引用です。


日本車の名前は数あれど、マニアが語り明かせる名跡となるとそうはない。
その一つがスカイラインだ。
7代目までの開発に携わり、あまたの伝説を残した桜井真一郎さんが亡くなった。

出身のプリンス自動車には、ゼロ戦などを手がけた男たちが集い
1957年の初代スカイラインは「飛行機屋が凝った作品」と評された。
代々に脈打つスポーツ魂は、桜井さんが足回りを任された2代目からで
もっぱらサーキットで培われた。

初代より小さな車でレースに挑むにあたって
桜井さんは上級車種の大型エンジンを積むべく
量産型の車体を20センチ伸ばす奇策に出る。
かくて生まれた2000GT、通称スカGはイメージを決定づけた。

日産に吸収合併されても、技能集団の遺伝子は3代目に引き継がれた。
中でもレースを意識した「GTR」は国内無敵の走りを誇り、今も日産の看板だ。
4代目は排ガス対策などで重くなったが、「ケンとメリー」の粋な宣伝でよく売れた。

販売戦略から、桜井さんは「スカイラインの父」にされた。
本人は職人の頭領を自称し、「伝える手段は図面のみ」
と、鉛筆の線がきれいに引けるまで新人をしごいたという。
それでもオヤジさんと慕われ、桜井学校からは逸材が輩出した。

「やれるだけやって、車づくりに心血を注いだ満足感を持って死にたい」
享年81。言葉通りの、うらやましい開発人生である。
ケンメリのCM曲でも聴き直し、天に駆け上る丸型テールランプを見送りたい。
この耐久財が夢や憧れでありえた時代が、また遠くなる。



ほほう……
天に駆け上る丸型テールランプ



うーん。
天に駆け上る丸型テールランプ




若干の臭みをはらみつつ、ズシっと伝わる
無視のできないこの、フレーズの使い方、その語り口。

天声人語は、何人かの担当が日替わりで執筆していると聞きますが
以前、たちごけ人生に取り上げた

「胃の形が分かるほどにじわっと広がる熱燗」
の、担当の方と同一人物と見ましたが、いかがなものでしょう。

by tachigoke400 | 2011-01-25 06:25 | その他


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